対人コミュニケーションが苦手で、そのなかでも特にテキストコミニケーションが苦手です。
仕事上、以前は「電話」「メール」が主なツールでしたが、コロナ禍以降は在宅ワークの広がりもあり、「チャット」でのやり取りも増えてきました。
特に社内のやり取りは対面での会話や電話が減少し、チャットに置き換わってきています。
苦手と言っても切り離せないコミュニケーション手段。
直接の会話よりも時間がかかるなかで、いかに齟齬なくお互いの時間を減らせないかと、ひとり取り組んでいる中で見かけたのがこの本です。
ビジネス文章に対する誤解
まず「相手が最後まで読んでもらえる」前提が誤りであること。最初からストレートパンチです。
相手に文章の内容が正しく伝わるか、認識違いが生じないか、ヌケモレがないか、などの視点で文章の推敲を行っていますが、「相手が最初から最後まで、一字一句漏らさず読むか」という視点の考えはあまりなかったです。
長過ぎないか?もう少し要素ごとにまとめられないか?はありましたが、それでも「相手が全部読んでくれる」前提に立っていました。
確かに身近に触れる広告や、社内で目にする企画書なども、長文で何枚ものスライドになっているものは流し読みしたり、後回しにして結局読まないことも。
「自分が読もうと思わない構成の文章は相手も読まない」
まずはこの意識を持つことが重要だと思います。
具体的なコツ
メールの書き方ダイエットで、具体的なコツが「7つ+α」挙げられています。
個人的に印象に残ったコツの一つは「無駄な敬語禁止」。
挨拶などの省力化は意識して取り組み始めていますが、本書で書かれている内容や意識までは辿り着けていません。
『親しき仲にも礼儀あり』で、ある程度の礼節は必要と思います。
しかし『慇懃無礼』の言葉通り、あまりにも丁寧すぎるとかえって印象が悪くなるもの。
伝えにくいことは明言を避け、丁寧な言葉とニュアンスでごまかし、相手に意図を汲み取ってもらえるように書くこともあると思います。
しかしそれは相手に解釈から判断を委ね、負担を与えてしますし、それこそ失礼に当たるのではないでしょうか。
また本書内では「自分が嫌われないために丁寧過ぎになりがち」との指摘もなされています。
伝えにくい内容も、単刀直入に言ってしまったほうが明確に伝わりますし、その後のやり取りもスムーズに進みそうです(揉めないとは言いません)。
いんぎん-ぶれい【慇懃無礼】
三省堂 新明解四字熟語辞典
言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって無礼であるさま。あまりに丁寧すぎると、かえって嫌味で誠意が感じられなくなるさま。また、表面の態度はきわめて礼儀正しく丁寧だが、実は尊大で相手を見下げているさま。▽「慇懃」は非常に丁寧で礼儀正しいさま。
相手の立場に立つ
長い文章を受け取っても、ひと目見ただけで辟易としてしまいますよね。
文章を書く側だけでなく、文章を読む相手の時間をも奪ってしまいます。
仕事上、相手に文章を送る際は、お伺いや判断を求める内容が多いと思います。
過度な敬語の禁止や、要点をまとめる・箇条書きにするなどスリム化のほか、「抽象度を下げる=具体化する」ことも必要な要素になるでしょう。
相手の立場に立って「読む・判断が短時間で済む構成と文章」を考えていくと、自ずと作る文章はスリム化されていくはずです。
最後に
本書では、上記以外の言葉ダイエットのコツの他、メールや企画書などの言葉ダイエット実例や、「読みたくなる文章」についても書かれています。
読みたくなる文章=おもしろい文章。
「おもしろい」とは笑いが取れる文章ではなく、その中に読み手にとって新しい発見があるもの。
発見にも主観・客観がありますが、それらの実例も紹介されています。
言葉ダイエットもさることながら、「読みたくなる文章」にも発見・学びが多かったです。
コミュニケーション手段は年々変化していき、新しいツールも登場しますが、その基本はお互いの意思や感情、思考を伝達し合うこと。
『言葉ダイエット』の通り、自己防衛のために文章が長くなってしまうことが往々にしてあります。
自分らしく楽しく生きていくために、変に謙り過ぎることなく、言いたいことはハッキリ伝える勇気を持っていきたいですね。